アンナと王様 1999年アメリカ/20世紀フォックス配給/ 147分
監督: アンディ・テナント
出演:
ジョディ・フォスター/チョウ・ユンファ/バイ・リン
日本一なげやりなストーリー紹介:
シャム国王(チョウ・ユンファ)に招かれて、皇子(達)の家庭教師を務めることになった英国人女性アンナ(ジョディ・フォスター)が、習慣、思想、立場等の違いから、王と度々衝突しながらも、色々あって次第に心を通わせるようになる。というラブロマンス。
極私的感想:
ストーリーとしては古典的(リメイクなのもあるが)で特筆するような所はないのだが、
ラブストーリーとして甘すぎず、歴史物として堅すぎず、
観終わった後に心地よく寂寥感を覚える、誰にでも薦められる「良作」の一つ。
デートでこれを観ないで何を見るんだ?という作品。
「タイタニック」みたいな子供向けバカ映画をロマンチックというのなら、
この作品はどう形容すべきなのだろうか?
本来、「ロマンチックなラブロマンス」というのはこういう作品を言うのではないだろうか?
ただ、
ジョディ・フォスター(の芸風)が好きな人は気に入るだろうし、
ジョディ・フォスター(の芸風)が嫌いな人は退屈だろう。
という「好き嫌い」は出るのかもしれないが。
個人的に、ジョディ演じるところのアンナは、
賢いんだけど不器用(恋愛だけでなく)で、鼻っ柱が強くて、そのくせおセンチで、
大人ぶってるけど実は結構子供っぽい、人間として「かわいらしくて好感の持てる」
女性として描かれていると思う。
これが、周囲の空気にも敏感で駆け引き上手な、本当にスマートな女性であったならば、
この作品は実に退屈なだけの史劇に成り下がっているだろう。
映像も秀麗で知らず知らずのうちに目を奪われている。(それなりに金かかってるけど)
が、決してそれをひけらかしたりはしない。そういう感じの作品である。
演出も、過剰な残酷さ能天気さ芸術性等に決して溺れず、上品に仕上がっている。
また、個人的には
全編を通して、駆け足でストーリーが展開され、少々せわしないような感じもする
ファー・インやタプティムの悲劇はもっとじっくり描いて欲しい気がした。
が、一般的に評価すれば、
宮崎駿の作品に引けを取らないほどのテンポの良さは、観客を決して退屈させないだろう。
というのが妥当だろう。
華麗なスペクタクルだとか、やたら金の掛かっただけのCGとか、
現代において「わかりやすい」セールスポイントはこの作品にはあまり見当たらないが、
決して「手抜き」な作品ではない。
むしろ、特撮やセットには「必要以上に」こだわっている。
ただし、セットの豪華さや高度な特撮技術だけに頼った駄作ではない。
近年、話題作の謳い文句からは欠かすことの出来ない、この「お題目」は、
本来、映画制作の手段でしかないはずだ。
料理に例えるなら、
「金箔入りの見た目豪華な料理」と、
「余計な味が混ざらないように、金の器に盛った料理」との違いである。
「費用がかかったから良いものに違いない」と
「いいものを作るためには費用は惜しまない」とは根本的に違うのである。